【これであなたもガラス博士 第3回】

【これであなたもガラス博士 第3回】

ガラスのドッキング方法



こんにちは! 
ガラス博士 目筋郎です。目筋郎.png
今回はガラスのドッキング方法について、お話します。


ガラス製品同士を接続する方法には、いろいろあるのですが、
一般的には、『共通摺合(きょうつうすりあわせ)』といいます。
ガラスをある一定の精度に削り、オスとメスを合体させて使います。


この共通摺合には、『共通テーパーすり接手』と『共通球面すり接手』があります。
又、サイズなどの規格は、JIS(日本産業規格)にて取り決めがされています。


JIS規格の番号は、
JIS R 3646:化学分析用ガラス器具の共通テーパーすり接手
JIS R 3651:化学分析用ガラス器具の共通球面すり接手
です。


JIS規格については、インターネットで閲覧することもできます。(印刷はできません)
規格を紙ベースで買うと1規格 数千円しますので、ネットで閲覧がお勧めです。

head_logo.gif
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html
こちらで規格番号を入力してもらえれば、閲覧可能です。
(利用者登録が必要ですが、登録・利用の費用はかかりません。)


球面すり接手もテーパーすり接手とは違うメリットがあるのですが、別の機会に。
今回は、一般的な共通テーパーすり接手の説明をします。

接続部分は、気密性が求められます。
液が通ったり、真空に引いたり、蒸気が通ったりするからです。

ガラス同士を接続せず、一体物で作る方が気密性は保てます。
ただ、蒸留装置など高さ1mくらいのものを一体で作ると、
持ち運びや破損しやすくなりますので、ガラスを分割して接続して使います。
水道管の配管と同じ原理ですね。



CL1032.png
     (上↑)この装置を一体物で作ったら、実験する前に割ってしまうだろうな。


ガラス同士を接続して止めるために、ガラスに若干の傾斜を付けます。
ガラスの場合は、テーパー10分の1と決まっています。
これは、(縦方向)長さが10mm進むと管の径(横方向)が1mm小さくなるという意味です。
仮に、傾斜がなくてストレートだったら、とまらずにスライドし続けますよね。
(ガラスの注射器(ピストン)をイメージしてもらえればわかるかと思います。今は、ほとんどなくなりましたよね。)


いろいろなサイズがありますが、テーパーすり接手は、まず頭に【TS】という記号が付きます。
TとSを合体させて、一文字の記号にすることもあります。
この記号の由来はよくわかりません。【T:テーパ、 S:すり】の頭文字なのかな~と思ってますが。
御存知な方いらっしゃれば教えてください。

そのTSの後に 【 ●(数字)/ ▲(数字)】と表記がされます。これがサイズを表していて、
最初の●が、大径のサイズ 次 ▲ が、摺合せの長さを表しています。

例えば、 【TS24/40】 の場合ですと、大径24mm 摺長さ40mm を表します。
呼び方ですが、分数なので、『ティーエス 40分の24』と読みたくなるところですが、
業界的には、分数の【/】のところを 【の】と解釈し、左から読んで、『ティーエス24の40』と言います。


FireShot Capture 003 - クライミング勉強会の案内 - shin.hamachi@climbing.co.jp - 株式会社クライミング メール - mail.google.com.png
これを見てもらうのが、一番わかりやすいです。


先程テーパーは10分の1という話をしましたが、
大径のサイズと摺長さが解れば、小径側のサイズは自動で計算が出来ます。
TS24/40ですと、摺長さ40mmですので、径が、40÷10=4mm小さくなります。
よって小径は、大径24mm-4mm=20mmとなります。


小径のサイズは意外に大事です。なぜかというと、
フラスコなどでは、摺合せの小径部分が、首部分で一番狭いところになります。
何か棒などを差し込んだり、試料の入れやすさを検討するには必要な径です。


弊社でよく製造をしている、共通テーパーすり接手のサイズは、
【TS15/25】【TS15/35】【TS19/38】【TS24/40】【TS29/42】が一般的です。
この他のサイズでも製作は可能ですので、ぜひお問い合わせください。


又、海外での摺合せは【TS】ではなく、【NS】と呼ばれています。
テーパーサイズは同じ10分の1なのですが、大径・摺長さなどのサイズも若干違いますので、
接続をされるときは注意が必要です。

では、また。
 

【今日のまとめ】
ガラスの接続は、共通摺合のオスとメスでドッキンぐ~~~♪


【目筋郎のつぶやき】
昔、おもちゃの超合金で、ロボット合体させていたけど
これをガラスで作ったら、なんか面白そう。。。。
 
理化学分析用硝子器具 【更新日:2021/11/27】
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